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2017-03-22

枠から飛び出して、道なき道を行くような新しい働き方を創る10人〜【はたらく推薦図書 第29回】~


これからの僕らの働き方

はたらく課では、この地域の色々な方に”はたらく”に関するインタビューしています。このインタビューを通して感じたことは、皆さん自分なりの考え方を持ちながら働いているということ。

AIやロボットによる労働参加、労働人口の減少とともに生産性の改善が進んでいくなど、まわりの環境が変化する中で、移住や2拠点で働く、複業やパラレルキャリアなど、誰かが前を走りつくってきた、新しいはたらき方も生まれています。

それはあくまで個人個人が考えてたどりついた選択肢の1つであって答えではありません。しかし、色々な選択肢があることを知ることは、自分らしい働き方を考えるうえでのヒントになります。

今回のはたらく課推薦図書で紹介する本は、『これからの僕らの働き方〜次世代のスタンダードを創る10人に聞く』(2017年 早川書房)です。

今一番おもしろい仕事をしている10人、真鍋大度さん(ライゾマティクスリサーチ)、村上臣さん(ヤフー株式会社 執行役員)、青木涼子さん(能アーティスト)、松本理寿輝さん(まちの保育園代表)、阿嘉倫大さん(スケルトニクスCEO)、水野祐さん(法律家)、丸若裕俊さん(丸若屋代表)、石川俊祐さん(IDEOデザイン・ディレクター)、兼松佳宏さん(勉強家)、藤本あゆみさん(at Will Work 代表理事)にインタビューをしています。

この中で、個人的にも興味があるテクノロージ・伝統芸能の分野で活躍されている2人の方を紹介します。

仕組みの面白さの方を追求していきたい|真鍋大度

ライゾマティクスの真鍋大度さんを知っていますか。真鍋さんは、Perfumeのライブ演出の技術サポート、2016年リオ五輪の閉会式で絶賛された東京五輪へのフラッグハンドオーバーセレモニー(引き継ぎ式典)のARやプロジェクションマッピングを用いた演出などを手掛けています。

真鍋さんは、仕組みの面白さに注目しているため、コンテンツの闘いになったら、その土俵をすっと降りて、違うことをやりはじめるそうです。

プロジェクションマッピングもそうですが、ビルの形や窓に合わせて投影すること自体が、当初はアイデアとしてすごく新しかった。でも、それがメジャーになっていくと、今度はどれだけきれいな解像度で出せるかとか、大きなビルに投影できるかとか、スケール勝負でギネス記録を狙う方向になっていきますよね。そうなると、仕組みやアイデアの問題ではなくなってしまうので、僕の興味は失われていきます。


今やっていることは、テクノロジーの方から身体表現を変えていくアプローチ。ドローンは誰でも扱えるようになり、パフォーマンスでも使われるようになったものの、今でもメインはカメラを付けて撮影すること。

人の動きに合わせてドローンを動かせるような仕組みやシステムが作れたら、今度はダンスのほうに新しいアイデアが出てきて、振り付けを考える新しいきっかけがそこで生まれるかもしれないと、真鍋さんは言います。

たしかに、インターネットが発明され、それに伴い人の生活スタイルも変化するなど、テクノロジーの方が人に与える影響はありますね。

僕らがやっていることを、抽象的に言うと「人間をテクノロジーで変える」というようなことだと思うんです。(中略)もうちょっと抽象度を下げると。「身体とテクノロジーの関係を考える」となるし、もっと具体的にしていくと、「ドローんと人間の関係性をどのように構築して踊りを作るか」ということになる。

でも、基本的にはテクノロジーと人間の関係性を追求しているのは間違いないんです。


伝統芸能を今に活かすことがしたい|青木涼子

能と現代音楽を組み合わせた、まったく新しい作品を世に送り出している青木涼子さん。能の家の出身ではなく、中学2年のときにテレビで能の特集を見て笛の音などのお囃子がすごくかっこいいと思い、市民向けのカルチャーセンターに通い始めたのが能との出会い。

能に限らず新しい芸術を生み出したいと考えていた青木さんは、ベースとして日本の伝統を学んだほうがいいと考え、東京藝術大学で能を専攻します。その後、大学院に進学、ロンドン留学を経験し、客観的に能のことを掘り下げていきます。

ヨーロッパにはクラッシク音楽という伝統があり、それを土台にした現代音楽もさかんにつくられていました。どちらの作品もすばらしい。そして、現代の観客たちが楽しんでいる。そういう舞台を観るなかで、自分は「伝統芸能を今に生かす」ということをやりたいのだと、だんだん気づいていきました。


青木さんは、能の謡(うたい)と現代音楽を組み合わるアプローチをにたどりついたそう。自分が目指す方向性を見つけることは難しく、実際に考えたことをやってみたりしながら、軌道修正していくことが大切。考え続けることで、抽象的な概念がある時、解像度が上がり、はっきりとイメージできる瞬間がきます。

「なにか新しい芸術を生み出したい」とは思っていましたが、それがなんなのかはずっとわかりませんでした。やろうとしていることが、これまで世の中にないものだったので、「この人を目指せばいい」というロールモデルもなかった。いろいろな舞台を見たり、ワークショップに参加したり、いくつもの体験をし、選択してきたなかから、現代音楽に出会いました。その瞬間、カチッとはまった感じがしたんです。自分がやりたかったことは、これだったんだと。


まとめ

色んな働き方があることが共有され、選択肢があることを知れる時代になりました。しかし、これらの働き方は、答えではなく自分らしい働き方を考えるうえでのヒント。このヒントをもとに、自分なりの答えを見つけ出すことが大事。これからの自分の働き方を考えていきたい方には、お勧めの一冊です。