自分はどうしたいのかを深く掘り下げ、まちでしごとをつくる【まちのトレジャーハンティング@岡崎】
岡崎市で開催された「まちのトレジャーハンティング@岡崎 プレシンポジウム」に参加してきました。まちのトレジャーハンティングとは、普段の生活では気づかない、このまちに眠っている資源や魅力を発掘し、その「お宝」の活かし方・使い方を考え、自分たちのまちの未来や暮らし方を提案する2日間のイベント。同イベントに先駆けて、まちをフィールドに活動している2名のゲストから、まちの楽しさを見つけるコツや楽しむコツを伺いました。
ゲストプロフィール
▼本郷紘一:クリエイティブシンカー / 株式会社 GUILD 代表取締役 / 株式会社 iiD 代表取締役
1982 年生まれ。宮城県出身。25歳で起業、美容室やネイルサロン、飲食店経営のGUILDと、イベント企画会社iiDの2社を経営。「A cup of coffee fills our city. 一杯のコーヒーが街を豊かにする」の理念を掲げ、移動式コーヒーショップSENDAI COFFEE STANDで仙台の街角をおしゃれに彩る。仙台の街でコーヒーを入れ続けながらも、美容室やイベントを通した街づくりをローカルに行っている。公園を補助金なしで市民の手でリノベーションする仕組みを生み出したり、定禅寺通りでのCOFFEE FESでは23,000名の集客をし公共空間の利活用も行っている。
▼宮崎晃:HAGISO代表 / 一級建築士事務所 HAGI STUDIO代表/ 東京芸術大学 建築科 非常勤講師/ 京都造形大学 非常勤講師
1982年生まれ。群馬県出身。2008年 東京藝術大学大学院美術研究科建築設計 六角研究室 修了。2008-2011年 ㈱磯崎新アトリエ 勤務。2013年より東京谷中にて、解体予定だった築58年の木造アパート「萩荘」を再生した「最小文化複合施設」HAGISOを設計・運営。
街は、街を使うプレイヤーが作る時代
最初に登壇したのは、仙台で美容室やネイルサロンの経営や「一杯のコーヒーが街を豊かにする」がコンセプトのSENDAI COFFEE STANDを運営する本郷紘一さん。仙台のまちには緑があふれていて、一杯のコーヒーを片手に持ちながら外で過ごすスタイルを楽しんで欲しいと思い仲間を集め、自転車を改造し移動式コーヒーショップSENDAI COFFEE STANDを立ち上げ。
その過程で、保健所や警察に注意されながらも、今では行政の方を巻き込んだチームをつくり、公園等でCOFFEE FESを開催するなど、公共空間の利活用を民間で行っています。印象に残った言葉は「街は偉い人が計画して作るんじゃなくて、俺たちみたいな街を使うプレイヤーが作る時代が始まっている」。
負荷価値を生み出す
続いて、東京谷中にて、解体予定だった築60年の木造アパート「萩荘」を再生した「最小文化複合施設」HAGISOを設計・運営する宮崎晃吉さん。学生の時に住んでいた木造2階建ての賃貸アパート「萩荘」が、老朽化により解体することに。最後の記念にと、入り浸っていた芸大生たちが萩荘全体を使って展示をする「ハギエンナーレ」を開催。
結果的に3週間の展示期間で、約1500人もの人が訪れ、このイベントに参加していた大家さんの奥さんが「ちょっともったいないかしらね〜」という一言から、宮崎は経験はなかったが勉強してリノベーション含めたいくつかのアイデアを提案。大家さんに承諾をもらい自らリスクをとって「最小文化複合施設」HAGISOを立ち上げる。
他にも、まち全体を一つの大きなホテルに見立てることで地域と一体になったホテル「hanare」も手がけるなど、谷中をフィールドに面白いプロジェクトを展開しています。世の中で既に価値とされていることをするのではなく、負荷をかけて価値を(誰も価値と思っていなかった物件等をリノベーションやコンセプトメイキングすることで価値をつくる)つくっていく負荷価値の考え方が大事。
誰かのしたいではなく、自分はどうしたいのかを深く掘り下げる。どちらのプロジェクトも街を面白くしていく視点では同じかもしれませんが、コンセプトやアプローチが異なります。背景に人の想いが透けてみえるからこそ、多くの人の心を動かすかもしれません。
トレジャーハンティング@岡崎の本番は2月18日(土)、19日(日)に開催されます。詳細は、こちらをご覧ください。