「人」と「社会」をつなぐ新しい働き方|港まちづくり協議会
今回の求人記事は、名古屋港エリアでまちづくりを行う「港まちづくり協議会」について。
お話を伺ったのは港まちづくり協議会事務局次長の古橋さんですが、インタビューの聞き手は、はたらく課のメンバー兼、同じ港まちづくり協議会の事務局で働く岡西が担当。
ちょっと変わったぼくらの仕事について、ちょっと改まったインタビュー形式で紹介します。
岡:古橋さん、今日はどうぞよろしくお願いします。せっかくなんで色々聞かせていただきます!今回一緒に働くスタッフを募集するという事で、そういえば僕も6年前にこの職場(:港まちづくり協議会、以下「まち協」)に出会った面接で、最初は訳も分からず「ワークショップがやりたいです!」と古橋さんに言っていたことを、ちょっと恥ずかしく思い出しました。
古:よろしくお願いします。懐かしいですね。履歴書が写メで送られてきた時は、ちょっと大丈夫かなって(笑)。
岡:古橋さん、それは勘弁してください(汗)。
古:ふふふ。でも、初めて会った時の空気感というかな。自分の人生にちゃんと向き合おうとしてる態度とか…あと、まちづくりに欠かせない笑顔とガッツはありそうだなぁと思ったかな。前職もタフな仕事だったと教えてくれましたよね。
岡:ありがとうございます。喜んでいいのか微妙ですが…。印刷業界で、結構遅くまで仕事することもありましたね。
まぁ、でもしんどさよりも、3年経った時に、このままでいいのかなぁって感じた時があって、一旦リセットして、次を探そうと思ってた時に、まち協に出会いました。
古:そう思っても飛び込めない人が多いんじゃないかな。中々勇気のいる決断だと思います。
岡:いえいえ、そんな…タイミングですかね。でもそれからの5、6年なんてあっという間でした。僕より古橋さんの方が断然長いですよね?
古:僕はもう12年になるね。今でこそ、状況は変わってきてるかもしれないけど、あの頃は、まちづくりが仕事になるなんて思ってもみなかったです。
岡:きっかけはあったんですか?
古:20代の後半、大学院に通いながらまちづくりに関わっていて、特に2005年の愛・地球博で、NGO・NPOのパビリオンだった「地球市民村」のプロジェクトに関わったことが大きなきっかけでした。
岡:万博ですか?
古:そう。万博は、国家プロジェクトだから、国が主導するんだけど、その時のテーマが「環境」だったことや、時代的な要請もあり、そこに企業やNGO・NPOといった市民活動との協働が重視されていて。
でも、NPOの人たちは、なんというか志も高いし、思い入れも強いから、行政や企業の人とすぐに対立してしまう。国家プロジェクトの資金は公金。それは、公が管理するお金なんだけど、それと激しく対立しながらでないと事が進んでいかない現場を目の当たりにして、大変だなぁと思いました。
岡:あぁー・・・凄いですね。ぶつかっちゃうんだ。
古:社会貢献を仕事にするってことは、志というかミッション(:使命)が大事だから、気持ちはよくわかる。対立構造が生まれるのは仕方ないというか当然なんだけど、対立する関係で仕事をするのはしんどいよね。
これからのNPOというか、社会貢献事業の分野では、そうした資金を有効活用できなければ、未来はないのになぁと。そんな問題意識が生まれました。まち協の仕事に誘ってもらったのは、そんな頃だったんです。
岡:なるほど。続いてるんですね。
古:僕の中では、地続きの関心です。だから、このまち協も公金を活用した社会貢献事業の一環として捉えていますし、特定のエリアを対象としたまちづくり事業の社会実験のような枠組みと考えたりしてます。
岡:改めてなんですが、この「港まちづくり協議会」ってかなり特殊な団体ですよね。
古:全国にも「〇〇まちづくり協議会」というのはたくさんあって、おそらく全て特殊というか、形態はさまざまあるんじゃないかな。でも、その中でもこれだけの規模感で、専門の有給スタッフが複数人いて、事業費もしっかり構えているのは、相当特殊だと思います。その分、注目もされますしね。
岡:これも改めてですが、古橋さんはスタッフには何を求めるんですか?
古:…!その直球な感じ、好きです(笑)。
岡:いや、ここは重要なんでちゃんと答えてください!
古:いやいや。ごめん。僕が大切にしているのは、スタッフが何を求めているか。これは、個人的な見解だけど、このまち協は、未来永劫続くような団体ではなく、期間限定の社会実験の枠組み。もちろん、今日明日消滅するようなことはなく、10年単位で考えていいと思うけど、そこで働く人は、おそらくなんらかの目的や問題意識を持った人で、3年から5年くらいのスパンで関わることが一つのモデルになるのかなと考えています。
岡:古橋さんや僕は、その想定年数を超えてますよね。
古:そうだね。だから、この枠組みを次の世代に引き継ぐということも考えなくちゃいけない時期に来たのかなと思います。さっき、スタッフに「何を求めるか?」って聞いてくれたことにも答えなくちゃと思いながら話してますが、僕がスタッフに望むものは、その人が、自分を活かして社会、あるいは地域、もっと言えば、人とどう関わろうとしているのかということへの姿勢や想いだったりするかと思います。
ここで働きたいと思ってくれた人が、何に惹かれて、なぜ関わりたいと思ったのか、そして何をしたいのか。そんなことが気になる。
-名古屋のみなとまちをみんなのまちに
岡:よく「どんなまちづくりをしてるの?」って聞かれますけど、そもそも「まちをつくる」って何なんでしょうか。
古:正解は一つではないというか、その地域ごとに在り方は異なるんじゃないかな。僕の今の見解としては、まちづくりは「ひと」と「社会」の関係性の再構築なのかなと思っています。その地域における人間関係の再構築といってもいいのかもしれない。
もちろん、人間関係づくりにゴールなんてないから、それを事業としてやる以上は、仮にでも目標は立てて、進めていく必要があって、この港まちでは、「なごやのみ(ん)なとまち」というコンセプトを軸にした活動を進めています。
岡:「み(ん)なとまちVISION BOOK」ですね。
古:そうそう。これは「みなとまち」に「ん」を入れると「み(ん)なとまち」になるということで、「ん」って「人」という漢字に似てたりしますよね。名古屋の港まちに「人」が加わることで、新しい港まちをつくっていこうという願いを込めました。
今、このビジョンブックが出来て5年が経ったので、少し内容を改訂しているところです。それ以前の活動も含めて、本当にいろんなことをやってきたなと少し感慨深い気持ちもありますが、まだまだだなぁという感じもあって、色々考える今日この頃です(笑)。
岡:ですね。試行錯誤しながらですけど、毎年結構新しい経験ができるのは、面白いですよね。
今、ビジョン改訂までのプロセスを展示(:「み(ん)なとまちで何する展」3月16日迄)してますが、こんな展示も実はユニークというか。普通は、出来ないことですよね。
古:確かに。それは、本当にいろんな人のおかげというか、これまで関わってくれた人たちとのつながりが成せる技であり力だと思いますね。
岡:大変なことは多いですけど、いろんな方々と出会えたのは凄くいい経験になってるかと。
古:そう言ってもらえると僕も嬉しいね。公金で活動している以上、それが一つのモデルになって行くことも求められていると思います。最近は関係人口とか、交流人口とも言われるけど、「まち」は、そこに暮らす住民だけで成立しているわけじゃなくて、その地域に関わる人たちによって形成されるコミュニティが基盤。働きに来る人も、遊びに来る人も、この港まちで何かやりたいとおもって関わってくれる人もいて、「み(ん)なとまち」というコミュニティは出来上がっていくんだと思います。
最近では、アートや音楽を中心とした、クリエイティブに関わる人たちが、たくさん関わってくれています。僕らの仕事は、このまちに面白い人が集まる求心力であり続けることかもしれませんね。
-まちづくりを仕事にする
古:平田オリザさんという劇作家の講演会で勉強してきたんですけど、これからの地域社会では、ユニークな意見を出すことよりも、そのユニークな数々の意見を取りまとめてなんとかやっていく、ということが求められるそうです。それって僕らの普段やっていることと結構似ているんです。でも、それを遂行するのは、総合的なスキルが必要です。
岡:よく古橋さんがいってくれますけど、ここでの経験値ってまちづくりのスキルっていうわけではなく、どんな現場でも自分で考えて何とかするチカラだったりするんですよね。
古:そうですね。ユニークな数々というのは、バラバラの意見ということでもあって、その一つひとつを調整しようとすると、1人じゃできない。だから、チームが必要になる。僕も、出来てないことが多くて悩みながらだけど、やっぱりチームで動くことって本当に大事だと思っています。お互いの個性を理解しようと努める態度や気持ちが、自分の個性を光らせる力にもなるんじゃないかな。
岡:まちづくりの仕事ってまだまだ知られていないですが、今後新しい仕事がどんどん出てくるなかで、たとえば高校生、大学生などの若い人が漠然とでもいいので将来の仕事の選択肢としてまちづくりを選べるような社会になっていくといいですね。
古:人と人との絆が薄れているとか言われるけど、人と社会も繋がっていない。今は、お金で買えるさまざまなサービスが溢れて、他人や社会とわざわざ繋がらなくても生きていけてしまう時代だったりします。だけど、3.11の東日本大震災のような事態が起これば、化けの皮はすぐに剥がれてしまう。人間は、そもそも社会的な生き物だし、そこに活かされて生きていく中に、本来の幸せがあるじゃないかな。そんなことを考えながら、具体的な地域をつくっていくような仕事が増えていくといいね。
岡:一緒に楽しんで働いてくれる人に出会いたいですね!
古:ぜひ。どうぞよろしくお願いします。
※港まちづくり協議会とは
港まちづくり協議会では、ボートピア名古屋設置に伴い競艇を施行する自治体(蒲郡市など)から名古屋市に交付される「環境整備協力費」を用いたまちづくり事業を、住民と行政との協働により検討・実施しています。2015年に港まちポットラックビルをオープンし、まちづくりの新たな拠点として活動を進めています。
(取材 2019/03/11 岡西康太)
港まちづくり協議会 | |
募集職種 | 1.事務局スタッフ 2.受付スタッフ |
雇用形態 | 1.非常勤 有期雇用契約 2.受付スタッフ:アルバイト 有期雇用契約 |
給与 | 1.時給1,100円 2.時給1,000円 |
待遇・福利厚生 | 1.交通費実費相当、年次休暇 12日、夏季休暇 3日 (厚生年金、健康保険、雇用保険加入、健康診断) ※ただし労働条件による。 2.交通費実費相当、年次休暇 1日程度 |
仕事内容 | 1.事務局の運営 ・港まちづくり協議会が実施するまちづくり活動の企画・実施・運営 >「ガーデン」「子育て」などをテーマとしたコミュニティ活動 >地域のお祭りなどの賑わいイベント >アート&デザインを活用した各種プロジェクトの企画運営など) ・各種事業を進める上での資料作成 ・その他、事務局の運営に必要な業務 2.受付業務 ・電話対応、来客対応・清掃 ・港まちポットラックビル1階の管理・運営 ・簡単な事務作業 ・SNSなどの更新作業 |
勤務地 | 名古屋市港区名港1−19−23 Minatomachi POTLUCK BUILDING 港まちづくり協議会事務局 |
勤務時間 | 1.月~土のうち4日程度 ※ただしイベントの日程によっては日曜出勤の可能性あり 交代制として、次の勤務時間の組み合わせによる ①午前9時00分〜午後6時00分 ②午前10時30分〜午後7時30分 2.火~土のうち2〜3日程度 [シフト制] 午前10時30分〜午後7時30分 |
応募資格 | 1.①港まちづくり協議会の活動に興味がある方 ②コミュニケーション力があり、チームワークがとれる方 ③PC スキル(Word、Excel、powerpoint)がある方、 イラストレーターなどが使えるとなおよい ④20〜35歳くらいまで、大学生不可、社会人経験のある方 2.①接客の経験がある方 ②港まちづくり協議会の活動に興味がある方 ③コミュニケーション力があり、チームワークがとれる方 ④PC スキル(Word、Excel)がある方、 イラストレーターなどが使えるとなおよい ⑤学生応相談 |
求める人物像 | 笑顔でガッツがある、ちゃんとコミュニケーションが取れる |
募集期間 | 2019年3月24日までに必要書類を送付してください。 |
採用予定人数 | 1.2名 2.若干名 |
選考プロセス | まずは下記よりご応募・お問合せの上、履歴書・志望動機書・実績のある方は活動資料を郵送 ↓ 書類選考 ↓ 面接(1回) ↓ 採用 |
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