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2019-03-05

焼き物のまち瀬戸で、 型をつくる仕事を極める|株式会社エム・エム・ヨシハシ


※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「型職人の仕事を学べる学校はありません。実践の中で経験を積んでいくしかない仕事です。」

焼き物に関わる仕事の中で型職人という職種があることを、今回紹介するエムエムヨシハシの吉橋さんと出会うまで知りませんでした。

愛知県にある瀬戸市では、窯、素地、釉薬、型、絵付など分業体制で製品をつくりあげてきました。

元々は一つの窯元の中で一貫してつくられていたが、昭和30年から40年代にかけて焼き物は、つくれば売れるという時代の中で大量生産体制に移行していき分業化が進んでいきました。

株式会社エム・エム・ヨシハシ

株式会社エムエムヨシハシもその時代に大きな窯元から独立して、製品の元となる原型から量産するための型をつくる型屋として1959年に創業します。

今回は、エムエムヨシハシの中でも大事な部分を担う型職人を募集します。

名古屋から車で1時間かけて、会社に到着しました。

代表の吉橋さんが迎えてくれました。取材時間の直前まで作業をしていたそうで、エプロン姿が似合っています。

吉橋さん

エムエムヨシハシは、祖父が創業した会社で、吉橋さんは3代目。

陶磁器用の型だけでは厳しい時代がくると、先代が自動車の金型をつくる前段階で必要となる石膏(せっこう)型も手がけ、乗り越えてきた。時代の流れとともに石膏型の需要も減っていく中で、吉橋さんは会社に入社します。

「若い頃は家業を継ぐつもりはまったくなく、東京でアパレルデザインの勉強をしていました。一枚のデザイン画から洋服の型紙をつくるパターンという仕事があり、それは素材が違うだけで、家業の型屋の仕事と同じだと気づきました。商売のベースもあり、自分なりに新しい仕事ができるならと、瀬戸にもどって型屋を継ぐことを決めました。」

今回募集している型職人は、どんな仕事なのだろうか。

工場内を案内してもらいました。

原型づくり

「窯元さんからの依頼を、石膏を削って形にしていきます。これが製品の元となる原型になります。まずはそこの部分をサポートしてもらおうと思っています。」

原型をつくる仕事は、同じものを二度とつくることはないのだとか。

「新たに注文を受けたものは、初めてつくるものです。似たような形をしていても、サイズも違えば、素材も違う。窯元さんによってつくり方も異なるので、うまく焼けるような方法を都度考えることが大変です。」

原型ができたあとは、それを量産していくための型をつくっていきます。

「型屋という仕事でいくと、これが製品になります。この状態のものを窯元さんが使います。」

量産型

「器などの製品になる部分はこの型の内側にあるので、中がよければそれでいいという方もいます。うちは外側も含めて製品だと思っていて、型を使う人がいかに気持ちよく使えるかを考えながらつくっています。」

窯元さんがこの型に粘土を流し込み固まったら粘土を中から取り出し、最後に焼くことで製品になる。作業する人が持ち上げやすいように横の部分に溝を彫っているのだとか。

30年以上勤める江尻さん。黙々と淡々と丁寧に仕事をしていました。

「石膏の固まる時間は、その日の気温や水の温度で変わってきます。自分の目で見た感覚で、一番最適な状態を体に刻みこまないといけない。数値化ができるものではないので、失敗しながら自分で経験して覚えていくしかないです。」

量産型をつくることを覚えた後、段階的に原型製作を覚えて欲しいという。

30年以上勤める江尻さん。

ここまでは、型屋として大事にしながらやってきこと。環境が変化していく中で、型屋として培った技術をベースに新しいことにも挑戦し続けています。

「型屋は、窯元さんからオーダーがあったものしかつくれない待ちの仕事です。陶磁器業界全体は右肩下がりなので、待っているだけだと潰れてしまうという危機感がありました。それなら新しいことをやろうと、自社ブランドを立ち上げてみようと思いました。」

「原型はつくれるけど、それをどこで焼いて、どうやって販売したらいいのか全く知識がありませんでした。」

知らなかったからこそ、行動できたのかもしれない。

「自分の好きなものをつくって雑貨屋さんなどに持っていけば扱ってくれると軽く考えていました。」

現実は厳しかった。飛び込みで入った雑貨屋さんに見てもらっても「他にも同じような製品はある」、「値段が高い」などと言われ続け全く売れなかったそう。

それでも待つのはなく行動を続けていきます。そんな中で、良い出会いに恵まれます。

「デザインをやっている友達に”メイドインジャパンプロジェクト”という日本のモノづくりの継承のため、生産者・デザイナー・ショップ・一般消費者を全国規模でつなぐ活動があることを教えてもらいました。」

「そこでプロダクトデザイナーの方と知り合いました。そのデザイナーさんも瀬戸出身で、年代も同じぐらい。よく飲みに行ったりしていました。会話の中で、お寿司の湯呑みを絵付けではなく、彫ってつくったら面白いんじゃないと盛り上がりました。」

掘付(ほりつけ)

つくってみたら反響があって、そこから広がていきます。

「プロダクトデザイナーの方にも手伝ってもらいながら、売るなら他の商品も揃えてブランド化していこうと、型屋の製造技術をいかしたブランド”掘付(ほりつけ)”が始まりました。」

ここから少しずつ動き始めます。会社に入って5年が経っていました。

ここでの経験を活かして、自分でブランドをプロデュースしていきます。

掘付(ほりつけ)

「会社に戻ってきた時に売り歩いていたものは、真っ白で味気ないものでした。改めて自分の売りたいかたちは何なのかってことを考えました。」

「生活の中で必要とされるものや毎日気づいたら使っているものが好きだったので、”生活に溶け込み、特別に意識することなくいつも使える”をコンセプトにしたブランド”AND C(アンドシー)”を立ち上げました。」

子供から大人まで家族みんなで選んで使ってもらえるように6色のカラー展開をしています。

「”AND C”は、型の技術よりも瀬戸の窯元さんの良さだったり、自分がつくりたいものを表現できる場にしたいと思っています。新製品も窯元さんの特徴が出せるように意識しながらつくっています。」

知り合った窯元さんが色をつくるのが得意で、水色とピンクと白は既に持っていました。そこの特徴を活かしつつ、さらに3色つくってもらい、6色のカラー展開を思いついたのだとか。

”AND C(アンドシー)”

今回募集する型職人は、どんな方にきて欲しいですか?

「型をつくる仕事に関しては、最初は何もやれることがないと思います。一緒に配達行ったり材料の勉強を一緒にしたりと、そういうところからスタートします。」

暇さえあれば自分で型をつくり続け、10年で一通りは覚えることができたそう。それでも、まだまだ知らないことがたくさんあるのだとか。

時間がかかることを理解して地道に技術を積み重ねていくしかない。やれることが増えくると仕事が面白くなっていくと吉橋さんはいいます。

「うちは残業をなしにしています。瀬戸のつくり手さんと繋がるなど外に出て行ってもいいし、創作する時間に充ててもいい。」

「自分で作品をつくりたければ、石膏や材料、設備を使ってもらってよくて、それが一番勉強になります。最終的には、自社ブランドの型づくりも任せていきたいです。」

お話をききながら時間をかけて職人を育てていく姿勢が伝わってきました。

次に事務と商品の出荷・管理、オンラインショップの管理など担当している吉橋亜矢子さんにもお話を伺いました。

吉橋亜矢子さん

「商品の出荷・管理などの他にイベントでの販売も担当しています。イベントの特性によって持っていく商品を変えているけど、それが外れて撃沈することもあります。」

なかなか結果が出なくて大変なことも多く、100個頑張ったうちうまくいくことは1個ぐらい。それでもこの1個のためだけに頑張れるという。

「イベントでうちの製品がすごく好きな方に会うと、その気持ちが嬉しくて、いつも救われています。」

「同じようなものが他にも売っているけどうちに来てくれるのは、人と人とのつながりが信頼性につながっていくからではないかと感じています。そのためにはコミュニケーションがすごく大事になります。」

販売することと向き合うなかで、日常生活の中に楽しさがたくさんあることに気づいたという。

イベント販売

「販売するときに、どうやったらうまくコミュニケーションがとれるかを考えながら毎日生活していると、その中にヒントがたくさんありました。」

どんなヒントですか?

「食事のときに子供のお茶碗を見たときに、前まで大きく見えていたのに、小さく見えました。成長が早く年齢によって手の大きさがすぐに変わる。子供の年齢あったお茶碗のサイズがあることに気づきました。」

その気づきを販売するときにいかしているのですね。

「お子さんがいる方には、先程のお茶碗のお話をしたり、主婦の方だったらお料理をこのお皿にこう盛り付けたら失敗しましたとか、自分の生活の中で気づいたことをお話しすると共感してもらえます。」

「売るという感じではない方がよいと最近気づきました。そのことを意識するようになって生活も豊かになった気がしています。」

集合写真

最後に、再び吉橋さんにこれからのことを聞きました。

「1、2年後には工場に一般のお客さんがきてくれて、直接つくっている人とお話をしながら、商品も見れる場をつくっていきたいと思っています。」

「最終的には、型だけでなく焼くところまで一通り全部できるメーカーになっていきたいです。」

型屋としての技術をベースに、会社がステップアップしていくタイミング。

良いものをつくることにじっくり向き合ってみませんか。

(取材 2019/02/04 大野嵩明)

株式会社エム・エム・ヨシハシ
募集職種 石膏型職人
雇用形態 正社員(試用期間あり)
給与 170,000円~
待遇・福利厚生 厚生年金、健康保険、雇用保険加入
仕事内容 陶磁器生産用の石膏型を製造します。
勤務地 愛知県瀬戸市品野町4丁目22番地
勤務時間 8:00ー18:00
休日休暇  日曜、第2第4土曜日、GW、夏季、年末年始
応募資格 18才以上、普通免許
求める人物像 ・真面目で目の前のことに真剣に取り組むことができる。
・向上心がある。
・規律ある行動ができる。
募集期間 1名採用するまで
採用予定人数 1人
選考プロセス まずは下記よりご応募・お問合せの上、希望者はまずは会社見学に来てもらい、働きたいと思ってもらえたら、後日改めて面接します。

会社見学

面接

採用

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