はたらく推薦図書 第11回 あなたの「肩書き」は?
大泉洋さんが好きなんです。
唐突に私的な話題からのスタートになりますが、大泉洋さんが好きでして。
ドラマ、映画、舞台と役者の仕事はもちろん、バラエティでも独特のそんざい感を発揮し、さらにはCDも出していて歌もうたえる。他にはないオリジナルな魅力を様々なジャンルで示すそのはたらき方。いい具合に力が抜けて、飄々としながら、ぶれないこだわりの軸を感じさせる仕事は、「かっこいいなぁ」と思うんですよね。(すみません、ちょっと私的な印象が長くなりました)
今回推薦したいのは、そんな大泉さんが1997年から16年にかけて書き溜めたエッセイが綴られている『大泉エッセイ』。「はたらくと関係あるの?」と思われるかもしれませんね。正直に申しますが、仕事で参考になるスキルや考え方はあんまりないかもしれません。そこはご了承ください。けど、一冊通して終始続く少し力の抜けた文章は仕事の合間に気軽に読むにはぴったり。なおかつ、そこに垣間見える20代〜30代の大泉さんのライフスタイルやはたらき方から、読む人それぞれが共感や気付きを得られるのではないかと思います。
そんな『大泉エッセイ』の中で、僕が考えさせられたテーマをひとつご紹介します。それは、書き下ろしで掲載された「肩書き」というエッセイ。
「たまにインタビューで聞かれることの一つに、「大泉さんは肩書きを何とお呼びすればよいでしょうか?」という質問があるこれがなかなかに困る質問で、確かに自分でも悩むところなのである。」この一文から始まり、いろいろなジャンルではたらく大泉さんが、自分の肩書きをなんと答えるかを考えるエッセイです。
「俳優」「お笑い芸人」「ローカルタレント」
世の中にある肩書きを並べながら、それがしっくりこないと言っては、次の肩書きを考える。そして、なぜ色々な肩書きがしっくりこなくなったのか、自分のはたらき方や想いを振り返っていく。「自分がしたいこと」と「実際にやっていること」の狭間で、何者だと名乗ったらいいのかを考える…。
そんな文章を読んでいて、ふと思った。「自分の肩書きはなんなんだろう?」
はたらく上で肩書きは大事ですよね。組織の一員である自分を示すかもしれない、業界や職種で自分を表現するかもしれない、いろいろな言葉を皆さん日頃から使っていると思います。でももし、会社とか業界を一度置いておいて、「自分がこう名乗りたい」と思う肩書きを考えた時、あなたは自分をなんと表現するでしょう。そこから出てきた言葉は、自分自身の「はたらく」や「生き方」への願いや想いや目標を込めた言葉になるのかな、と大泉さんのエッセイから感じました。
みなさんの肩書きはなんですか?
大泉さんは、「どうやら私は今まである世間の「肩書き」では収まらない男のようだ」と新しい肩書きを考え始めます。
結局、大泉さんの肩書きは何になったのか。本を読んで確かめてもらえた嬉しいです。