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2016-12-11

まちを面白くするはたらく〜エリアリノベーション〜【はたらく推薦図書 第24回】


はたらく課推薦図書 第24回 エリアを面白くするはたらく

”まち”という言葉は、なんだか人の温もりが感じられない。でも、まちはたくさんの人の重なり合いのなかで成り立っているはず。でも、どこか遠い存在のまち。

「都市計画」という、行政主導のマスタープラン型の手法。「まちづくり」という、助成金や市民の自発的な良心に依存した手法。そのどちらでもない、デザイン、マネジメント、コミュニケーション、プロモーションなどがバランスよく存在する、新しいエリア形成の手法をこの本では「エリアリノベーション」と呼んでいます。

現段階で成功していると思われるエリアリノベーションの法則を探すことがこの本の目的となっており、どんな街にも共通する骨格を「基本構造」、街の状況に即して柔らかく変化する部分を「ローカライズ」と定義し、エリアリノベーションは、その組み合わせによって起こっているという仮説を著書の馬場さんは立てています。

本の中では、モデルケースとして6つの街を紹介しています。

・東京都神田・日本橋:馬場正尊(東京R不動産
・岡山市問屋町:明石卓巳
・大阪市阿倍野・昭和町:小山隆輝・加藤寛之(Buy Local
・尾道市旧市街地:豊田雅子(尾道空き家再生プロジェクト
・長野市善光寺門前:倉石智典(長野・門前暮らしのすすめ
・北九州市小倉・魚町:嶋田洋平(リノベーションスクール

また、6つの街の変化を、できるだけ構造的に把握するため、以下のように同じ質問を、同じ順番で投げかけられています。

・変化の兆し/サイン
・きっかけの場所/スペース
・事業とお金の流れ/マネタイズ
・運営組織の形/オペレーション
・地域との関係/コンセンサス
・行政との関係/パートナーシップ
・プロモーションの手法/プロモーション
・エリアへの波及/インパクト
・継続のポイント/マネジメント

想いのある個人が動き、その想いが広がりやがてチームとなり、まちが変化していく。はたらくことを通じて、まちが面白くなっていくことを読んでいて感じることができました。

まちに関わりたいと思っているデザイナーさんや建築家さん、自分のまちをよくしていきたいと考えている方には、お勧め一冊です。

タイトル:エリアリノベーション:変化の構造とローカライズ

編著者:馬場正尊+Open A
著 者:明石卓巳・小山隆輝・加藤寛之・豊田雅子・倉石智典・嶋田洋平
出版社:学芸出版社