人生の節目に立ち合い、人と学びの橋渡しをする〜第26回 はたらくインタビュー|ヒューマンアカデミー 鈴木真須美〜
第26回はたらくインタビューは、資格取得・就転職の総合校「ヒューマンアカデミー名古屋校」でカウンセリング営業職の仕事をしている鈴木真須美さんです。夢や目標に向かう人へ講座やカリキュラムを提案し、キャリアアップの支援を行っています。いわば、“学びのコーディネーター”です。
10年近くこの仕事を続けている鈴木さんですが、以前はブライダル業界で働いていたのだとか。現職に至るまでの経緯や、日々多くの人と接する仕事のやりがいなどを聞いていくうちに、鈴木さんが大切にしている人生の軸が見えてきました。
静岡県出身。全国に校舎を構える「ヒューマンアカデミー」のカウンセリング営業職として、2012年より浜松校、2016年より名古屋校で勤務。社会人向けのキャリアスクールにおいて、受講希望者への講座の提案、体験入学やオープンスクールの案内、進路やキャリアアップのフォローなどを担当している。
偶然手にしたパンフレットと一本の電話が、仕事と出会うきっかけ
—どんな経緯があって、今の仕事に就いたのですか?
元々はブライダル業界出身。ウェディングプランナーやドレスコーディネーターを約10年経験して、その後、約7年はブライダルカメラマンの仕事をしていました。
実は、今の仕事に就く前に人生の転機があって……。30代半ばで大病による闘病生活を経験し、しばらく治療に専念していたんです。体調が回復していざ社会復帰をしようというタイミングで、自立して生きていくためには何か資格を取ったほうが良いのかなぁと考え始めました。
そんなとき、駅のチラシラックに置かれていたヒューマンアカデミーのパンフレットを見つけて。以前から興味があった「心理学」と、実務に直結しそうな「医療事務」の講座案内を持ち帰りました。
その翌週くらいに、ウェブディングプランナー時代の先輩から電話があって、「ヒューマンアカデミーという会社でスタッフを募集しているんだけど、やってみない?」と。その先輩はヒューマンアカデミーのグループ会社に転職していて、たまたま連絡をくれたようなのですが、パンフレットを手にしたばかりだったので不思議な縁を感じましたね。
すぐに面接を受け、無事採用していただけることに。静岡出身なので最初は浜松校のスタッフからスタートし、約3年勤務したのちに名古屋校へと異動して現在に至ります。
—資格取得を考えていたところから、資格取得にチャレンジする人を自ら応援する立場になったのですね。
「ブライダル関連の講座もある」と聞いて、自分の経験してきたことが活かせるチャンスだと思ったんです。それに、ブライダルの仕事も、ヒューマンアカデミーの仕事も、「人生の節目に携わる」という点は同じ。結婚式という節目、就転職やキャリアアップという節目。一人ひとりの人生の大切な時間に立ち会いたいという気持ちは変わっていないですね。
結婚式も資格学習も、個々の思いに寄り添える仕事
—カウンセリング営業職として、主にどんな業務に取り組んでいるのでしょうか?
ブライダル関連はもちろん、ネイル、パソコン、心理学、日本語教師など幅広い講座を案内しています。最近では、企業や学校などで活躍の場が広がっている「キャリアコンサルタント」の国家資格取得をめざす講座をメインで担当するようになりました。
業務の流れを説明すると、まずは興味を持って問い合わせをいただいた方に資料送付をしたり、メール・電話で業界情報などを提供したり。その後、どんな目標や将来像があるのかなどのカウンセリングを経て、希望に沿った講座や、授業見学・無料セミナー参加の案内をしています。
予算や学習期間の目安を伺いながら、具体的なカリキュラムやスケジュールも提案も。たとえば「心理学」と一口に言っても、思考の癖やネガティブな感情をポジティブに変換し、信頼関係を築くトレーニングをする「実践心理学NLP」、うつ病などの精神疾患や心と身体の関係性を学ぶ 「メンタルケア講座」などさまざまなコースがあるため、その人にマッチした内容の提案が必要なんです。
名古屋校は、全国の中でも特に大規模な校舎。1000人弱の受講生がいるので、運営専門のスタッフとも連携しながら生徒さんのフォローをしています。最近では、オンラインでの説明会や授業も実施しているので、地域を超えて全国各地の方々に学びの場を提供できるようになりましたね。
—ブライダルでの経験が活かされていると実感することはありますか?
プランニングやコーディネートの力は活かされていると感じます。結婚式では、チャペルで指輪交換やキスをして、披露宴で乾杯やケーキ入刀をして……と決まった型があっても、結婚する夫婦の背景や思いはみんな違いますよね。ヒューマンアカデミーの生徒さんも、同じ講座を受講していても学ぶ理由や目的は人それぞれ。だからこそ、しっかり傾聴して提案する姿勢を大事にしています。
どんなにIT技術が進んでも、“人”の存在は不可欠です。「チャレンジしてみたいけどやり方がわからない」「経験したことがないから心配」といった個々の悩みに寄り添うのは、AIにはできないことだと思っています。
—ウェディングプランナー時代から、“人との関わり”に重きを置いていることは変わらないのですね。
そうですね。受講を検討している方に「こんなに内容が充実している」「資格を取得すれば将来役立つ」とどれだけメリットを伝えても、納得して安心いただけなければ他のスクールを探すだろうと思うんです。時間をかけてカウンセリングをしていくなかで信頼関係を築き、その人にとっての”望ましい未来”を一緒に考え、“人と学びの橋渡し”をすることが役目だと考えています。
学びの「入口」に案内し、夢を叶える「出口」まで見届ける
—この仕事をしていて良かったと思うことや、やりがいを感じる瞬間はありますか?
ヒューマンアカデミーは学ぶ意欲がある人のための学校なので、勉強を強制する場ではありません。学びの“入口”まで導いて、その後のサポートもしますが、生徒さん本人の努力が必要となります。「やる」と決めたら人って変わるんですよ。表情も、言葉も、姿勢も、立ち居振る舞いも。そんな変化を目にしていると、私も嬉しくなりますね。
学びのプロセスも大事ですが、夢や目標を叶える“出口”まで見届けるのが私の仕事。キャリアコンサルタントの国家資格を取得して会社員から独立した人もいますし、メイクアップ技術の資格を取得してハリウッド映画のメイクを担当している人もいます。「ここで勉強したから変われた」「鈴木さんが支えてくれたからがんばれた」という言葉を聞くと心から良かった!と思えますし、やりがいを感じます。
—人が夢を叶える瞬間に関われる仕事は、他になかなかないですよね。その反面で、大変なこともあるのでしょうか?
最後の背中を押すまで寄り添ったつもりでも、本人があと一歩を踏み出すにまで至らなかったとき、もっとできることがあったのではと感じることはあります。
新しいことにチャレンジするときには、自分のこれからの可能性にワクワクする気持ちと同時に、「失敗したらどうしよう…」という不安な気持ちも生まれますよね。「時間がない」「お金がない」「仕事が大変」などいろいろな問題もあるはず。そういう場面で人は、「できる方法を考える人」と「できない理由を考える人」に分かれるんです。境遇によってものの見方は変わるので、自分の先入観を捨てて、多様な考えを理解できるよう心がけたいと思っています。
何が不安なのか、それを解消するにはどうすれば良いのかなど、時には数か月かけて回数を重ね、カウンセリングをすることもあります。一方通行のコミュニケーションにならないように思いを受け止めながらも、相手にも自己理解を深めてもらい、気づきを与えられたら。
—今後の目標や、やってみたいことはありますか?
これからも、この仕事を続けていきたいですね。世の中のニーズに応えるように次から次へと新たな講座がリリースされるので、ここにいると学びが絶えないんです。
生徒さんのなかにも、ひとつの講座を受講するだけで満足せず、さらなるスキル獲得のために学び続ける方々もたくさんいます。ネイル講座の修了後、もっと接客サービスを向上させたいからと心理学を学んだり、日本語教師の検定に合格した後、外国人就労者や留学生の就職支援をするためにキャリアコンサルタント講座を受講したり。みなさんにも、自分をアップデートさせていくことを楽しんでほしいですね。また、ヒューマンアカデミーは全国に拠点があってオンライン化も進んでいるため、名古屋に限らず各地の人の“学ぶ喜び”を見届けたいです。
はたらくことは、学ぶこと
―最後に、鈴木さんにとって“はたらく”とは何ですか?
私にとって、はたらくとは“学び”です。子どもや学生のうちに限らず、大人になってからの教育も大切。人への教育が豊かであれば、社会も豊かになると信じています。私自身も学びながら歳を重ねていきたいですね。歳は取るものではなく重ねるもの。そして重ね方が重要ですから。
そして、学びにはやっぱり“人”との関わりも必要。この仕事は、人と出会い、人とともに成長していける毎日です。さまざまな業界の情報から得る知識だけでなく、“人からの学び”による刺激が、はたらくモチベーションになっています。
—他者の人生の節目に携わり、学びを提供しながら、自身も学びを吸収している鈴木さん。その仕事の姿勢には、「人」と「学び」という2つの太い軸がありました。ちなみに今回の取材は、ヒューマンアカデミーの修了生だというハタラクデアイメンバーの紹介から実現しました。「鈴木さんがいなかったら、私は学べていなかったかもしれない。鈴木さんは人生の転機を支えてくれた人」と聞いていた話はけっして大げさではなく、さまざまな人が鈴木さんから“挑戦のきっかけ”をもらっているのかもしれません。—
取材日:2022年2月16日/取材・文・撮影:齊藤美幸