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2017-02-14

ない仕事をつくる3つのステップ【はたらく推薦図書 第27回】


はたらく課推薦図書 第27回 ない仕事のつくり方
みうらじゅんさんといえば、「仏像ブーム」を牽引していたり「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られています。しかしながら、本業は何で、どうやって食べているんだろう?と不思議に思っている方も多いのではないでしょうか。

そんなみうらじゅんさんの仕事に関する考え方をまとめた『「ない仕事」の作り方』(2015年 文藝春秋)は、これからのはたらき方、仕事のつくり方に参考になるので紹介します。

「マイブーム」を「一人電通」によって広めるその手法

みうらさんの仕事は要約すると、ジャンルとして成立していないものや大きな分類はあるけどまだ区分けされていないものに目をつけて、ひとひねりして新しい名前をつけて、いろいろ仕掛けて、世の中に届けること。

本書では、これまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待なども全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた仕事術を3つのステップに分け、具体例をまじえながら紹介されています。

1.発見と「自分洗脳」
2.ネーミングの重要性
3.広めることと伝わること

「ゆるキャラ」を事例に、具体的な手法を紹介してきます。

1.発見と「自分洗脳」

興味の対象となるものを大量に集め始めることが大事で、好きだから買うのではなく、買って圧倒的な量が集まってきたから好きになるという。自分を洗脳し無駄な努力を続け、集め続けるところで挫折してしまう事が多そうです。まさに修行・・・。

20年ほど前に、全国各地の物産展に赴いたとき、当時は「マスコット」という呼び名が一般的だった存在を見つける。平面でデザインしたときはそれなりに可愛かったかもしれませんが、立体にして人が入るには、かなり無理があるそのフォルム。そして、だれもマスコットに見向きもしないことに哀愁を感じ、「ゆるキャラ」の存在が気になりまじめる。

それから、物産展になるべく多く足を運び、集められるかぎりの情報を集め、「ゆるキャラ」を大量に摂取することに専念。

2.ネーミングの重要性

A+B=ABではなく、A+B=Cになるようにする。そして、AかBのどちらかは、もう一方を打ち消すようなネガティブなものにする。ネーミングのセンスも大切ですね。

名称もジャンルもないものを見つけ、それが気になったら、そこに名称とジャンルを与えることが「ない仕事」の出発点。「ゆるキャラ」と名付けることで、さもそんな世界があるのように見えてくる。「ゆるキャラ」は、「ゆるい」「キャラクター」の略で、本来矛盾した言葉の組み合わせ。キャラクターはゆるくては困ります。

3.広めることと伝わること

ない仕事をあるようにみせるには、「発表」が大事。自己満足で終わらせることなく「仕事」にするには、この発表をするかしないかで決まる。もともとないジャンルをあるように見せて発表をするので、お金を出す人や対象者の方に理解してもらうことが大変そうですね。

なかったジャンルのものに名前をつけ、それが好きだと自分に思い込ませ、大量に集めたら、次にすることは「発表」です。収集しただけではコレクターです。それを書籍やイベントに昇華させて、初めて「仕事」になります。

まずは、雑誌に企画を持ち込みました。当然ですが「地方のマスコットですか・・・」と最初は怪訝そうにされます。ここで必要なのが「接待」です。編集者を酒の席に招き、ごちそうをし、酔っていい調子になれた頃を見計らってプレゼンをする。

雑誌の連載が決まらなかったので、「ゆるキャラ」のイベントを仕掛けることに。2002年11月23日、後楽園ゆえんちのスカイシアター(野外ステージ)で「第1回みうらじゅんのゆるキャラショー」を開催。「なんだか面白そうだ」と、ピンときた鋭い観客で会場はいっぱいに。

2010年からは、「ゆるキャラグランプリ」も毎年開催され、40万人以上の観客を動員する巨大イベントに。ちなみに、このイベントは、私のアイデアはありません。知らないところでいつの間にか始まっていたからこそ、私は「ゆるキャラは『マイブーム』から『大ブーム』に変わったな」と気づいたのです。

まとめ

「ない仕事」をつくるには、そもそも人がやっていないことをやらなければいけません。そのため、「本当にこれが仕事になるのだろうか」、「やりたいこと」や「やらなければならぬこと」の間で葛藤することも多い。

そのときに「自分ありき」ではなくて、「自分をなくす」ほど、我を忘れて夢中になって取り組んでみることだと、著者は言います。

好きなことを仕事にしたい、会社組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したいと考えている方には、お勧めの一冊です。

タイトル:「ない仕事」の作り方
著書:みうらじゅん
出版社:文藝春秋