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2018-07-13

僕らの活動そのものがコミュニティだった〜【はたらく推薦図書 第35回】~


コミュニティー

大ナゴヤ大学という活動を続ける中で、何を目指しているのか、目的は何かと聞かれたり、自分の中で何度も考えてきました。簡潔に説明しようと言葉にすると、一部分は説明できるけれど、他の良い部分は、削ぎ落とされてしまう。

活動の一つの軸として、”ナゴヤのファンをつくる”は、言葉にしてもしっくりくるのですが、それでは活動全体を説明しきれていません。

”まち中がキャンパス”、”誰でも先生、誰でも生徒”というコンセプトのもと、”授業”という学びの場を、街の中で8年つくり続けてきました。その授業の運営には、企画者(授業コーディネーター)に加えて、ボラスタ(受付などの授業の運営、カメラやレポートなどの記録)という役割もあり、入れ替わりもありながら毎年30名ぐらいのメンバーと一緒に活動しています。

学びの場を作る中でも、参加している生徒さん同士が自然と繋がりが生まれるように工夫したり、ボラスタの役割のメンバーが自発的に行動するにはどうしたらいいのかを考える文化があります。

そして、そこから新しい活動が生まれることもあります。このはたらく課もその一つで、大ナゴヤ大学に関わっているメンバーが集まり立ちあがりました。

活動から活動が生まれる。自分達のやっていることは、何なのか。言葉にできないモヤモヤがずっとありました。興味や関心、楽しそうといった感覚的な集まりだったので、既にある地域コミュニティという概念とは、異なるとは感じていました。

そんな中で「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜」という、本に出会いました。インターネットの中で、「好き」を中心にしてできたコミュニティの話が中心ですが、大ナゴヤ大学の在り方と似ています。

本の中で、コミュニティをつくる上で大事なことは、安全・安心の確保が重要であると、著書は述べています。(安全・安心とは、何かなどの詳細は本を読んでみてください。)そのことを自分達の活動にあてはめてみると、必ず自己紹介をする習慣があります。

自分の好きなこと、関わろうと思った経緯などを話します。会社の役職、肩書ではなく、個人として何を考えいるのかを自由に話してもよい場になっています。大ナゴヤ大学という枠組みの中で、安全・安心を確保するための様々な仕組みが既に実装されていることに、気づかされました。

一方で、ここ数年は、スピード重視でプロジェクト生み出したり、熱量を持って実行してきました。その中で、ついていけない人もでてきたりと、どこかおかしい部分があるのではないかと考えていました。本の中で、熱狂は必要だけど、重要なのは順番だと書かれている部分を見つけました。

熱狂が全くない場合も、そのコミュニティは人を惹きつけることができず、自然に崩壊してしまう。だから熱狂は絶対に必要ではある。重要なのは順番だ。

熱狂→拡大→熱狂を繰り返すと、どこかで破綻する。そうではなくて、安全・安心の確保→熱狂→拡大→安全・安心の確保を繰り返すのが重要だ。

コミュニティ(ボラスタの役割のメンバーまでをさして使っています。)において、いま足りていないのは、安全・安心の確保ではないか。そんな仮説をたたて、日々試行錯誤しています。

どこにでも存在するコミュニティという概念。会社組織、自治会、NPO、組合など、人が集まればコミュニティになります。答えはありませんが、コミュニティについて、考えてみたい人におすすめの一冊です。