”毛織物”に関わる”はたらく”を巡る〜尾州産地ツアー〜
”尾州”という言葉を聞いたことは、ありますか?
木曽川流域にある愛知県尾張西部(一宮市)地域から岐阜県西濃(羽島市)地域は、”尾州産地”と呼ばれ、日本最大の毛織物産地で、国内生産量の8割程を占めています。
服など衣料に関わる”はたらく”についてもう少し知りたいと、約10万点のテキスタイルのサンプルを保有する岐阜県羽島市にある「テキスタイルマテリアルセンター」と「産地の学校」が企画している”尾州産地バスツアー”に参加してきました。
最初に、愛知県一宮市にある「東和毛織株式会社」に訪問し、ウール、モヘア、アルパカ、カシミア、アンゴラなどの羊毛の紡績・撚糸の工程を見学。
こんな太い繊維が、たくさんの工程を経て糸になるなんて・・・。
たくさんの機械が稼働している風景や音に圧倒されつつ進んで行くと、先ほどよりも繊維が細くなっています。
最終的に、細くなった糸がこちらです。ふわふわした毛が、こんな細い糸になるなんて、先人達の知恵というか、紡績技術すごいですね・・。
こんな変わった糸もあります。糸の中にも様々な形状があり、ニーズに合わせて日々進化しています。
次に向かったのは、「茶仙染工株式会社」。糸染めの工程を見学します。
チーズと呼ばれる状態にまかれた糸を染色用の釡に詰め、高温で染めていきます。
最終的に、均一に指定の色に染められた糸になります。ムラなく・均一に、そして安定的に染め続ける技術力が私たちの生活を支えているのですね。
お昼をはさんで、次に向かったのは「葛利毛織工業株式会社」。これまで見てきた糸を織り、布にしていく織物工場です。
大量生産をするために高速織機が主流になる中で、創業当時と同じ「ションヘル」と呼ばれる織機を使い続け、低速織機でないとだせない風合いを活かしたものづくりをされています。
最後に向ったは、岐阜県羽島市にある「三星染整株式会社」。ここは織られた生地を加工(整理加工)する工場です。
整理加工の工程が加わることで、柔軟で膨らみのある手触りの良い毛織物に変わるそう。
食のことは気にするようになったけど、衣のことを気にする機会は少ないように思います。名古屋のすぐそばに”尾州”という毛織物の産地があり、身近に衣料について触れることができる環境はある。
縦に分断された情報によこ糸を通し、繋いでいくような存在でありたい。
世の中には、多様な”はたらく”が重なりあって成り立っている。そんな一つ一つの”はたらく”にスポットをあてる活動を、これからも続けていきます。
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